古屋圭司通信

テレビCMでもおなじみの、コンピューター会計システムを扱う我が国最大級の組織を持つ(株)TKCの会報誌に髙田順三代表取締役社長とのインタビューが掲載されましたので、転載致します。
古屋圭司 衆議院議員に聞く
リニア新幹線の実用化は国土のグランドデザインを変える
p18【政経研活動】古屋議員① (2).JPG古屋圭司衆議院議員は自民党事業承継問題検討小委員会委員の立場で事業承継税制の導入に尽力された。リニア中央エクスプレス建設促進議員連盟幹事長でもあり「リニア新幹線の実用化は国土形成の視点から見ても多大なインパクトがある」とその可能性を力説した。
事業承継税制の導入は連携プレーの結果
 ──古屋先生には今回の新しい事業承継税制の導入について大変なご尽力をいただきました。感謝いたします。
 古屋 皆さんからご要望のありました事業承継は、それなりの納得できる形にすることができました。
 発端は、ちょうど私が復党して間もないころのことです。私の地元、岐阜県中津川市は、ものづくりが大変盛んで元気な地域なのですが、企業の倒産はゼロ件だが廃業は四十件もあるということでした。原因は、後継者がいないことや、株価の評価の問題で承継が難しいということで、せっかくの技術力があっても、店を畳まざるを得ないというお話しでした。
 これは、日本にとってとても深刻な問題になるのではないか、ということで党内の若手議員を中心に、事業承継問題検討小委員会をつくることになりました。それがよかったのだと思います。
 この間、TKC会員の皆さんも積極的に動かれて、テレビコマーシャルでも経営承継支援を大々的にアピールされた。そういう意味で今回の事業承継税制の導入は、まさしく自民党とTKC全国会の連携プレーの結果だと思っています。
 ──それともう一つ、古屋先生に感謝しなければいけないのは、商法改正の折に、適時に正確な会計帳簿を作成することの重要性を、法務省の方々に一番最初に発言していただいたということです。
 古屋 そんなこともありましたね(笑)。
 ──その後に、尾身幸次先生が「これは法務省への陳情ではない。法律を決めるのはわれわれ国会議員である」との力強い後押しがあって、記帳条件の明確化などの法制化の流れを、一気に引き寄せていただいたと思っています。
短距離の航空機に代わるほどの輸送力
p19【政経研活動】古屋議員②.JPG─それでは本題に入りたいと思います。古屋先生は、科学技術関係の制度整備にも多大な尽力をされており、リニア中央エクスプレス建設促進議員連盟の幹事長に就任されています。産業振興の観点から、二〇二五年の開通を目指しているリニア新幹線の可能性について、お聞かせください。
 古屋 リニア新幹線には超電導と常電導という二つの方式がありますが、現在日本で開発しているのは超電導のほうです。これは他国の追随を許さない最高水準の技術で、例えば海外にこの技術を輸出し、ニューヨークとワシントンDC間に導入したとすれば、移動に一時間もかからなくなります。また、航空機と比べてずっと省エネ効果が高く、短距離の航空機に代わるほどの輸送力が望めます。
 しかもこの超電導は、究極のクリーンエネルギーであり、いろいろな技術にも応用できる、まさに人類に夢と希望を与える技術といえるものです。
 ──今の新幹線との兼ね合いもあると思いますが……。
 古屋 東海道新幹線が開通して四十年が経ち、実は大規模な改修が必要な時期に差し掛かっています。仮に大地震が起きて交通の大動脈である東海道新幹線が崩壊してしまったら、日本経済そのものも大きな打撃を受けてしまいます。ですから、やはり東海道新幹線のバイパス機能としてリニア新幹線が早急に必要なのです。
 ただ、いくらJR東海が財源を負担するといえども、リニア新幹線の建設は全国新幹線鉄道整備法に基づく国家プロジェクトであり、中間駅やルートなどについては地域の実情を充分に考慮する必要があります。東京から名古屋まで早く移動するためには、途中に駅を一つも設けないのが理想ですが、やはり各都道府県に一つずつ駅を作ることによって、地域振興を図ることもできる。整備法第一条の目的にも「地域の振興に資する」と記されています。それによって、一大メガロポリスが日本に形成されるわけですから、その効果は測りしれません。つまり、リニア新幹線の実用化は、国土のグランドデザインを変えるほどのインパクトがあるのです。
最先端技術から「匠」の技まである
 ──夢のある話をありがとうございます。ただ、足下をみると、世界的に金融危機が広がって、日本も多大な影響を受けています。日本経済の展望についてどうお考えですか。
 古屋 産業立国として日本には底力があるということに、日本人はもっと自信を持つべきだと思います。今回の世界的な金融不安についても、われわれは十数年前に金融パニックを経験し、その反省から過度な金融経済に警鐘を鳴らしてきました。
 例えばアメリカの三大自動車メーカー「ビッグ3」は、ガソリンを大量に消費する車ばかりを作って、ハイブリッドカーなどに関しては、まったく投資してきませんでした。これはやはりアメリカの責任であり、つまり過度な金融経済に走ってしまったツケを今、払わされているのだと思います。確かに日本もその煽りを受けていますが、日本には最先端の技術から職人の「匠」の技まであり、それがピラミッドのようにピシッと形成されている。しかもそれを支える勤勉な国民性が備わっています。
 さらに、日本は世界各国と比べて個人金融資産や公的金融資産がたくさんある。この点は、もっと強調してよいと思います。日本経済の活力を取り戻すには、財政出動に軸足を置くことが大切です。「民」に元気がないときは「官」が頑張るしかない。これは歴史の教訓でしょう。

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