古屋圭司通信

 私たち立法府に席を置く国会議員が提案する法案を「議員立法」と呼んでますが(これに対し、政府が提案するのを「閣法」と呼んでます)、このたび次のような2本の法案を国会に提出し、成立を目指すことになりました。ややユニークな法案ですのでご紹介いたします。
<文字・活字文化振興法>
 文字や活字は、長い歴史のなかで蓄積されてきました。とりわけ我が国はその歴史は長く、日本書記・古事記に象徴されるように、文字によって日本の文化が伝承されてきました。しかし、昨今パソコンの普及により飛躍的に利便性は増したものの、文字・活字を書く習慣が薄れています。自らの経験からも、手紙を書いたり実際に筆をとって文章を書く機会が減り、一瞬漢字を思い出すことがでなかったという現象を、一度や二度は間違いなく経験してると思います。
 そこで、この振興法は、「『文字・活字文化』とは、文章を読み及び書くことを中心として行なわれる精神的な活動などを指す」との定義のもと、「地域や学校あるい家庭その他様々な場所においてその振興を図り、このすばらしい文化をいまこそ再認識して、国民共有の精神的文化財産として見つめなおしていこう」というものです。
 おそらく、多くの皆さんが「活字ばなれ」という危機感をもっておられると思います。もちろん「文字・活字文化」の振興は、自然発生的に醸成されていくのが理想であることは否定しませんが、このような法律をつくることにより、国民の皆さんの共通の認識をもってもらうことに大きく役立つものと思います。また、自民党は本年で結党50周年を迎えますが、「文字・活字文化」の振興を記念行事の一環として、国民運動に広めていくべきと考えています。
≪「文字・活字文化振興法」の概要≫
<盗撮の禁止等に関する法律>
 最近は、インターネットなどで不法に盗撮されたビデオなどが流通し、青少年に悪影響をあたえたり、暴力団の資金源になっているという深刻な状況にあります。盗撮行為は組織的におこなわれていることが多いのが実情で、プライバシー保護の観点からも大きな問題です。
 盗撮行為に関しては基本的には都道府県が独自の条例により対処していますが、厳しい罰則規定を設けている県もあれば、逆にほとんど設けていない県もあり、それぞれバラバラに対応しているのが現状です。そこで、議員立法として、新たに2年以下の懲役または200万円以下の罰金を処することを含む法案を提出予定です。現状の事実上の野放しの状態から、少しは抑止力がはたらくことを期待しています。
≪「盗撮の禁止等に関する法律」の概要≫

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去る5月30日に、「真の人権擁護を考える懇談会」の平沼会長をはじめ主な役員、座長の私と、与謝野馨・自民党政務調査会長との意見交換会を行ないました。我々からは、与謝野政調会長に次のような提案をしました。
<A案>政府案の問題点を解消するために条文の修正を行なう。
・人権侵害の定義の明確化
・人権委員会の権限を縮小
・加害者のレッテルをはられた者の保護に関する規定の整備
・人権擁護委員の資格要件の明確化
<B案>現行法を活用する
・現行の人権擁護委員法の改正
・人権擁護基本法(仮称)の制定
しかし、いずれを採るにしても、
・そもそも現実にいかなる人権侵害が発生し、なぜ本法案が必要なのかという、立法の背景となる事実の把握が不十分であること
・仮にA案のように修正を行なうとした場合、政府案の基本的な制度設計の転換を伴うものとして、修正にはなじまないのではないか
等々のことを考えると、現段階でA案、B案いずれかを採用することは困難であり、まずは十分な時間をかけて、いかなる人権侵害が発生しているのかについて、幅広く関係者から実情報告を求めるとともに、市町村長、関係団体、関係省庁などからヒアリングを行いつつ慎重な検討が必要不可欠である詳細はこちらをご覧ください)≫

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<人権擁護法案>
 かつて国会で廃案になった法案が、突然降って湧いたように登場してきました。
 この発端は、平成三年に国連で人種差別等の人権侵害への対応が決議されたことからでした。その後、日本でも審議されましたが、平成十年、政府は“我が国は、既存の法制度や立法以外の措置によって差別行為を抑制することができないほど明白な人種差別行為が行われている状況ではなく、人種差別禁止法等の立法措置が必要とは考えていない”との正式見解を出しました。その後、当時の連立与党のプロジェクトチームにて政治的配慮もあって、本法案が提出されました。しかし、いわゆる「メディア規制」の可否以外は、本法案の根幹について議論されることなく廃案となりました。

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