古屋圭司通信

 

本日北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会において、以下の概要の質問をそれぞれに対し行いました。
 詳細は、こちらよりインターネット動画をご覧下さい。
岡田外務大臣
・六者会合に関して、六者会合を再開しても重油支援に参加はしないことを約束されるか。
・各国首脳と会談をした際には、必ず「拉致」の話題を取り入れて頂くことを約束されるか。
城島委員長
・2月に開催された朝鮮総連主催の金正日誕生祝賀会に出席されたようであるが、拉致特別委員長は、公正中立の立場であることからこのことは問題である。
中井拉致担当大臣
・高校無償化について、朝鮮学校を対象としないことを中井大臣の口から述べて頂きたい。(理由については、先日の高校無償化についてのブログをご覧下さい)
・内閣官房拉致問題対策本部で作成されているパンフレット内に記載されていた拉致に対する政府の基本方針3項目、すべての被害者の安全確保と即時の帰国、真相の究明の実現、拉致実行犯の引き渡しについて。前回の質問で、拉致実行犯の引き渡しが削除されたのは何故かと述べたが、最新のパンフレットでは、残りの2項目までもが削除されている。これは何故なのか。
・政府がこれまであげてきた対応方針6項目が外されているのにもかかわらず、新たな政府としての対応方針すら出されていない。さらには、拉致対策本部なども開催されず、今後、拉致大臣のみならず政府一体で拉致問題に協力して取り組んでいかなければ、拉致問題は解決できない。
議事録は以下の通りです。


○城島委員長 次に、古屋圭司君。
○古屋(圭)委員 自民党の古屋圭司でございます。
 きょうは、外務大臣に貴重な時間をいただきましたので、外務大臣に質問させていただきます。
 前回私も質問させていただきました、鳩山政権になりまして拉致問題に対して基本方針がはっきりしていないということに対して非常に危惧を持っているということを指摘させていただきました。今もいろいろな委員からもありましたように、北朝鮮というのは、圧力をかけると小出しに譲歩案らしきものは出してくるんですね。そういういわば瀬戸際外交というのが彼らの手段なんですよ。これは歴史的にはっきりしているわけですね。拉致問題については、私どもが政権を担っていたときから一貫して姿勢は、米国、韓国、あるいは中国、そしてロシアも我々の考え方を実は支持しているんですね。
 ただ、それだけではなくて、北朝鮮が平成二十年に、重油支援に我々は参加しておりませんでした、参加していないにもかかわらず、我々に対して、拉致問題に関して交渉を再開してもいいですよという意思を示したんですね。あのときには、総理大臣が交代をするとかいう政治的な要素もありましたので、結果として、調査とかやり直しが向こうの一方的な通知により中止になってしまったということは非常に遺憾ではありますけれども、制裁をして重油支援に参加をしていなくても拉致問題というものは交渉は進められるという証左なんですよ。
 だから、これからもぜひ、北朝鮮には、重油支援を受け取った後で、昨年は二度も実は核実験をしているというケースがあるんですね。ということは、何といっても重油支援そのものが失敗をしているということですよ。ということは、融和策では絶対成果が上がらない、やはり圧力なくして北朝鮮を動かすことはできないと思います。
 そこで、昨年、岡田大臣はアメリカを訪問していますよね。私も相前後して行っておりまして、中井大臣も御一緒でしたので、関係者から聞いておりますけれども、拉致問題に固執しているということを米国の複数の専門家から聞いたんですね。家族会の方と、帰国後では、そんなことは言っていないよと言っているようでございますけれども、一方で、現内閣でも、拉致問題にこだわり過ぎているんじゃないかと言う方が大臣に入っています。それから、拉致実行犯の釈放の署名をした人も大臣に入っているんですよね。こういうことからすると、拉致問題が本当に軽視されてしまうのではないかなという危惧を抱くのは私だけではないと思います。
 そこで、具体的に聞きます。
 六者協議が、今再開されるかどうかというふうな言及がございましたけれども、仮に再開をされた場合でも、拉致問題の進展なしには重油支援などの対北朝鮮支援には絶対に参加しないという政府方針を堅持していただけますか。このことについてお伺いします。
○岡田国務大臣 まず、六者協議がそう簡単に再開されるものではないというふうに思っております。我々は原則を曲げるつもりはございません。したがって、一部報道はいろいろありますけれども、無条件に六者協議の場に戻ってくるということでなければ、例えば、制裁を解除しろと今北朝鮮が言っているわけでありますが、そういう状況の中では六者協議が開けるはずがない、そういうふうに考えております。
 そして、委員今御質問の件ですけれども、これは仮定の議論、つまり、六者協議が始まるかどうかというのがわからない状況の中での御質問というふうに受けとめさせていただきましたけれども、仮定の御質問にお答えするとしたら、基本的に我々は、この六者協議の中で、核の問題、ミサイルの問題、そして拉致の問題についてもきちんと解決を見出していく、そういうことがない限り本格的な支援というのはない、そういうふうに考えているところでございます。
○古屋(圭)委員 今、要するに、拉致、核、ミサイル、包括的に解決して、特に拉致問題が進展をしない限り重油支援などに一切参加しないというふうに私は受けとめました。
 実は、大臣になられて、議事録をずっと見ておりましたら、拉致という言葉を言及したことが十回ございます。しかし、いずれもこれは、拉致、核、ミサイルの包括的解決をするという定型文言の一環として入っているだけなんですね。そういった意味では、この拉致問題に対してまなじりを決して取り組むという姿勢は残念ながらうかがえません。やはり総理も、あらゆる方策を使ってということは、対話と圧力という言葉も消えています。ということは、融和策もあるのではないかという危惧を持つのは私だけではないというふうに思います。ぜひ、その辺、心してかかっていただきたいと思います。
 また、各国首脳が総理大臣あるいは外務大臣と会談をする機会が多うございます。必ずこの拉致問題を入れていただきたいということを切にお願いしまして、私の質問を終わります。
 最後に一言、何かありましたらお願いします。
○岡田国務大臣 今委員が言われた中で、対話と圧力という言い方がありますが、いずれも、私は、それは手段であって、大事なことは拉致の問題をしっかり解決するということだと思っております。
○古屋(圭)委員 終わります。
○城島委員長 外務大臣はここで御退席いただいて結構でございます。
 質疑を続行いたします。古屋圭司君。
○古屋(圭)委員 引き続き質問させていただきます。
 まず、私は、ちょっと城島委員長に御質問をさせていただきたいと思うんです。この委員会のルール上、委員長に質問はできないというルールはございませんので、あえて聞かせていただきたいと思います。
 委員長は、ことし二月、金正日の生誕を祝う朝鮮総連主催のパーティーに出席をされたというふうに聞き及んでおります。そこで祝辞を述べられたということであります。一議員が行くことに私はとやかく言うものではありませんけれども、やはり委員長という公的な立場で行かれているということで、これはいかがなものか、私はそういうふうに思います。
 それに先立って、昨年の十二月には横田さんの御自宅に御訪問された。中身は、キム・ヘギョンさん、ウンギョンさんとも言われますけれども、に会いませんかという趣旨のお話をされたそうですね。
 実は、このことは、もうキム・ヘギョンさんの問題が表に出てから何度もそういうことを言われていた。しかし、横田さんは、これによって拉致問題が簡単に幕引きをされては困るということで、ずっと断り続けているんですね。その心中を察するときに、やはりそういった横田さんの過去の問題からしても、いわゆる北朝鮮の片棒を担いでいるんじゃないかという誤解のそしりは免れなくなると私は思うんですよ。
 こういった行動はぜひ慎重にしていただきたいというふうに私は思いますけれども、この点についての委員長の御見解をお伺いします。
○城島委員長 あえて申し上げますが、総連の方は、出席したことは事実でありますが、祝辞を述べたようなこともありませんで、名刺を渡してすぐ帰りました。だから、滞在時間は三十分ぐらいだと思います。報道にあるような内容は一切行っておりません。
 それから、今ありました横田御夫妻に会ってという話でありますが、定期的にお会いしていますが、その内容は、この場ですから、あえて私は名前は申し上げませんが、元自民党の議員の方からのそういう手紙がありましたということを私にお話しになったことであって、私が話したことではありません。中身は全然違いますから、それははっきり申し上げておきます。
○古屋(圭)委員 私が申し上げたいのは、委員長という立場でございますから、やはり公正中立な立場で運営をしていただく、特に、こういう拉致問題という極めてセンシティブな問題がある立法府の責任を担っているわけですから、ぜひ行動は慎重にしていただきたいという要求でございます。
 もう答弁は結構です。
○城島委員長 いや、もちろん、そういうことでありますので、私は、中立の立場で拉致の委員長というのは常に意識しておりますから、そういう関係のところには公平に対応しています。
 それから、もう一度申し上げますが、一部そういうネット上で流れているのは私も知っておりますが、ヘギョンさんに会わないかと言ったのは私ではありませんで、そういう手紙が来たということを私にお話しになったことであります。これは事実が全く違いますから、名誉にかけてきちっと申し上げておきます。
○古屋(圭)委員 ヘギョンさんの問題は、ここに別に証拠があるわけではないので、これ以上私は言及しませんが、やはり、委員長の立場で朝鮮総連のパーティーに出かけるということ自身がやや軽率な行動だったのではないか。一議員の立場で行くのは全く問題ないと思うんですよ。やはり、それだけはきちっとわきまえていただきたいということを申し上げながら、次の質問に移ります。
 まず、中井大臣にお伺いします。
 高校無償化法案、先週、衆議院をあんな形で通過して非常に残念で、ほとんど消化不良、議論不十分ということでありました。
 私どもは、この問題は、まずルールに照らしても、要するに、客観的、普遍的なルールに基づいて、高校の課程に類する課程を置くものとするかどうかということをチェックして決めるということですけれども、文部科学省は、その判断をする機能もなければ、国交がありませんからチェックのしようがないということでありますし、なおかつ、北に対して私どもは制裁をしているということで、我が党としては、朝鮮高校への支援はすべきでないという結論を出しました。
 一方、中井大臣はたびたび、朝鮮高校の無償化は適用すべきでないというような趣旨の発言をされておられます。これがきっかけで世論の注目を集めたということでありまして、そういった意味で、勇気ある発言であって、私は評価したいと思う。
 確かに、これは中井大臣の担当ではありませんけれども、朝鮮高校への支給はすべきかすべきでないか、まず中井大臣としてのお考えをお聞きしたいと思います。
○中井国務大臣 自民党さんにおかれましては、委員会の質疑で消化不良という思いがおありの中、部会をお開きいただいて、無償化すべきでないという応援のエールをお送りいただきましたことを感謝申し上げます。
 資料的には、朝鮮人学校がどうだこうだということについて、一方的なことではありますが、私の手元にないわけではありません。また、長年いろいろなことを聞いておりますので、思いもございます。しかし、私は拉致担当大臣として、川端大臣に、国を挙げて制裁をしている時期に、その国民感情を考えてこれはお控えなさるべきだ、こういうことを言いまして以来、終始一貫、それを申し上げております。何も態度は変わっておりません。よろしく御理解のほどお願いいたします。
○古屋(圭)委員 担当大臣としては至極当然、かつ、ぶれのないお答えだったというふうに思います。
 私も全く同感でして、朝鮮学校は朝鮮総連の支配下にあって、金正日の指示をダイレクトに受けています。そして、今度の法案は、実は、直接本人であるとか家族に支給されるのではなくて、代理受領なんですね。代理受領ということは、朝鮮高校が受領する、すなわち朝鮮総連が受領する。では、果たしてそのお金がちゃんと真っ当に教育に使われているのかどうか、これはチェックのすべがないんですよ。
 我々は、今北朝鮮に対して制裁を科しています。すなわち、一円の税金も放り込んでいないんです。これをもし認めるということは、我々の税金を一年間に二億四千万円放り込むということになるわけでありまして、そういった趣旨から、私は決して民族差別をしようとか教育差別をしようということを是認しているわけではありません、国の基本ルール、要するに、国家が定めた基本方針にこれは反するものであって、しっかりそれは対応していただきたい。
 何か聞くところによると、第三者委員会をつくって調査をする、これこそ逃げ以外の何物でもありませんよ。政治主導を標榜している民主党らしくない。やはり、しっかり中井大臣が指導力を発揮して、はっきりこれは言うべきじゃないでしょうか。私は、強くそれを申し上げたいというふうに思います。
 さて、次の質問ですけれども、去年、私、新しい政権になって、三つの基本方針のうち一つが抜けてしまいましたよねということを指摘させていただきました。それは、これは昨年のパンフレットですね。日本政府は北朝鮮に対して次のことを要求し、一番、すべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国、二番、真相究明、三番、拉致被疑者の引き渡し、要するに実行犯の引き渡しですよね。この実行犯の引き渡しについては、よど号ハイジャック事件の犯人を帰すということでお茶を濁されたらかなわないからこれは削ったんだと、私はこれは理屈にならないと思うんですけれども、そういうことでありました。
 新しいパンフレットを見たら、これは一番目、二番目も全部抜けているんですね。すべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国、真相究明、この二つは入っていたんですよ。なぜこれまで抜いちゃったんですか。
○中井国務大臣 私、これは初めて見ておりまして、抜けているということも何もわかりません。
 私は担当になりましてから、すべてこういうことをつくるのをとめました。それは、入札等で非常におかしなやり方をやっている、非常に単価が高い、しかも効果がない。ポスターを含めてとめております。
 私は、この三月になって、パンフレットとポスター三種類を年度内に許可いたしました。また、放送も、今まで野党時代に私が申し上げておりましたように随契をやっておりまして、非常に高い短波の放送契約でございました。これも入札を行っていただくということで、ついこの間スタートを許可したばかりでございます。
 大変恥ずかしい話ですが、これについて私は十分承知をしておりませんので、帰って調べます。
○古屋(圭)委員 いや、パンフレットは、全国民が見る極めて重要な媒体なんですよ。政府方針が一応変わった。私は、最後の拉致被疑者の引き渡しも、重要な外交カードをみずから放棄するようなものですから絶対賛成はできないですけれども、新しい政権でやる。百歩譲ったとしても、こういうものが出ていながら、担当大臣が全然承知をしていない。これは、印刷が高くかかるからどうだこうだとは全く次元の違う話なんですよ。やはり、しっかりこれは対応していただきたいということであります。
 こういうところが、本当にこの政権は、中井大臣自身は一生懸命活動をされていると思います。しかし、組織を挙げて、政府を挙げて本当に対応しているのかというときには、答えは疑問符がつかざるを得ない。例えば、閣議決定をされた拉致対策本部のペーパー、十月の十三日ですよね。その中で、関係省庁会議を置くということになっておりますけれども、その後、こういった会が開かれたり対策本部が開かれたという形跡がどうもないようであります。ホームページを開いて見てみましても、二十一年、十三日の設置以降、全くリニューアルをされておりません。
 こういうところからして、やはり組織として本当にちゃんと取り組んでいるんだろうか、政府としてこの拉致問題というのを最重要課題の一つとして取り組んでいるんだろうか、これは多くの国民が疑問を持つところだというふうに思います。
○中井国務大臣 今、事務方に確かめましたところ、昨年、古屋委員から、三番目が入っているじゃないかと御指摘をいただいて、私も削らせますという答弁をしたと思いますが、それを受けて勝手に変えたようでございます。しかし、私はその変えた中身を承知いたしておりませんので、つくらせ直しをいたします。
 ただいま御指摘をいただきました、組織として云々ということにつきましては、私もじくじたる思いを持ってこの半年を過ごしてきたところでございます。私は、拉致担当大臣になりまして、拉致担当事務局というのがきちっとあって、拉致専門に働くのが何十人もおると聞いておったわけでございますが、入りましたところ、全部兼務であります。そして、ばらばらのところにおる。本当に拉致の問題を今日まできちっとやってきたのか、専門でやってきた者はだれだと聞いても、結局わからない、こういう状況の中にございました。
 私は、そういう意味で、それらをすべてチェックし直して、情報収集、安否確認、そして救出、これらに絞ってやっていかなければ、この五年間の空白を到底取り戻せない、このように考えて、今、組織を改編し、そしてすべての出版物の停止を解除しつつ、新しい方向で努力をしようといたしているところでございます。
 したがいまして、従来からのやり方におなれの皆さんから見れば、中井一人で空回りしているんじゃないかとおしかりもいただくことは重々わかりますし、また役所の中で、旧来の方がやりやすかったということを言う人もたくさんいるんだろう、このようにも承知をしております。しかし、それはもうだめ。とにかく、税金を徹底的に節約する中で、集中して情報収集、安否確認、このために頑張るというところでございます。
 城島委員長に対して御質問もありましたが、城島委員長も、いろいろな機会にいろいろな情報を得ては、私のところへ、これはどうだ、あれはどうだと確認を求めてこられております。私は、ありとあらゆる情報、どんな情報もほったらかしにしない、追跡する、この思いのもとで頑張っておりますので、御理解、御協力のほどをお願いいたします。
○古屋(圭)委員 情報収集をして分析をする、これは政府として当然のことであります。今までやっていなかったかといったら、そんなことはないというふうに思います。それは中井大臣と同じように……(中井国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと、私今質問しているんだから。質問優先ですよ、これは。委員長、続けてよろしいですか。
○城島委員長 はい、どうぞ。
○古屋(圭)委員 続けさせていただきます。
 やはりそれは当然のことなのであって、しかし一方では、十二億円ですか、今度の、二十二億円ですか、情報収集の経費として増額をした。私は、前回もこれは評価していますよ。こういったことはしっかりやっている。評価しているところは評価しているんです。
 しかし、今申し上げたように、基本方針という、だれが見ても当たり前のものがそっくりそのまま抜けて、そしてこのパンフレットもこうやって抜けている。御本人が、大臣、責任者が承知していない。ということは、もう一回再印刷するということですよ。ということは、またコストがかかる。コストがかかるからいろいろ印刷しなかった、しかし結果として、再印刷することによってコストがまたかかってしまうんですよ。矛盾しているじゃないですか。やはりこの辺はしっかりチェックをしていただきたいというふうに思います。
 そして、それに関連して、三つの基本方針のもとに、六つの対応方針というのが御承知のとおりあります。それぞれ、私、あえて今読み上げさせていただきます。
 一番、北朝鮮側に対し、すべての拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国させるよう引き続き強く求めていく。また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引き渡しについても引き続き強く求めていく。これが一番ですよ。この一番最後の、拉致実行犯の引き渡しは削られましたけれども、すべての被害者の安全を確保、私はこれは当然のことだと思うんですね。なぜこれが対応方針から消えてしまっているのか。
 もう一項読みます。現在、政府としては、北朝鮮に対して、人道支援の凍結措置であるとか万景峰号の入港禁止を含む措置、北朝鮮のミサイル等に関する資金の移動禁止の措置、すべての北朝鮮船舶の入港措置、すべての品目の輸入禁止措置等々をやっている。それで、これについても、北朝鮮の状況によってさらに検討していくということ。これは至極当たり前のことなんですよ。それがどうして対応方針から消えちゃっているんでしょうか。
 三番目の、現行法制度の中での厳格な法執行を引き続き実施していく。これも当然のことですね。
 とりあえず三つを言いました。なぜ、こういうものをあえて消さなきゃいけないんでしょうか。私はそれが理解できないんです。対外的なメッセージとして、要するに拉致問題に対しての取り組みが甘い、こういうふうに言われても仕方がないんじゃないでしょうか。
○中井国務大臣 古屋先生は何もかも御存じの中でおしかりをいただいているのだと思いますが、従来の政府がやってきた、当たり前じゃないかというお言葉でございますが、その当たり前のことが当たり前にされてこなかった。
 例えば、私は拉致担当大臣になりましてびっくりいたしましたのは、従来のデータがない、どこにデータがあるんだ。お一人お一人のことも含めて、どこにもない。警察に言いますと渋々出てくる面がある。あるいは、拉致対策本部の中に所属している職員が持っている、どこかへ消えちゃった。こんなのばかりでございまして、どこか一カ所にまとめられて、きちっと分析されて、使われた形跡は残念ながらありません。こういったことをきちっとやるだけでも膨大な作業だということを含めて、私は、今からでも遅くないから、やり直しをしていくべきだと考えております。
 同時に、現行法制下で厳格な法施行を引き続き実施していく、こう言いますが、本当に厳格に例えば制裁をやっているのかということを含めて、抜け道だらけではないか、私は残念に思っています。そういう意味では、昨年、サッカーファンの皆さんには申しわけなかったけれども、東アジア女子サッカー選手権の北朝鮮チームは入るべきではないとあえて申し上げたところでございます。
 そういったことを含めて、役所に任せておいたらできなくなってしまう、わからなくなってしまう、こういう今の拉致の対策の現状を憂えて、できる限り集約して集中してやっていく、このことを思って行動いたしております。四月一日からは体制ができますので、十分御理解をいただきながら頑張ってまいりますので、御指導のほどをお願いいたします。
○古屋(圭)委員 今の答弁を聞いておりますと、例えばこの対応方針の四番ですね、対策本部、今もありますね、つくっています。対策本部を中心に、拉致問題に関する情報を集約、分析し、解決に向けた措置の検討を迅速に、これは中井大臣が今まさしくやろうとしていることじゃないですか。我々もやってきた。確かに、それが不十分だという御指摘を今いただいています。だったら、さらにそれを加速するために、これを外す理由は私はどこにもないと思うんですよ。
 それからもう一つ、現行法制度下での厳格な法執行を引き続きということでありますけれども、これも、厳密な法執行がまだまだ不十分であったということですよ、反省を込めて言うならば。ということは、この項目だって、外してしまうということは余りにも不自然じゃないでしょうか。
 私は、今の御答弁を聞いていても、この二つ、そう思います。
○中井国務大臣 あえて外すとか外さないじゃなしに、私どもの機動化、簡略化した本部で、やることを集中的に決めて取り組んでいるわけでございます。
 古屋さん、それほど前のものが立派でよかったというのなら、あえてお言葉を返して悪いが、解決しているわけじゃないですか。何にも解決してこなかった、五年間、ここにみんなの苦悩があるわけです。岡田君の答弁でも、本当に私は、外務省としてはああいう答弁しかできないのだろうと思っています。
 そういう意味で、私は担当大臣になりまして、北朝鮮全般のことを担当しているわけでもありません。拉致問題の解決のための突破口を開け、こういうことでありますから、私自身、古屋先生なんかと一緒に長年関心を持って取り組んできたことでもありますから、それでは喜んでお引き受けさせていただいて、私なりのやり方でやらせていただく。これが、独断専行だとか、前のやり方を踏襲していないとか、おしかりをいただいてもそれは仕方がない。私なりのやり方で前進を図る、そして、一年たっても二年たっても何も見えてこないというのなら、そのときにはおしかりをいただいてもやむを得ない。それまでの間、どうぞ温かい目で御理解を賜りたいと思います。
○古屋(圭)委員 私は、中井大臣が何にもしていないなんということは全く言っておりません。非常に熱心に取り組んでいただいているということは、前の委員会でも私は評価をさせていただいております。しかし、ややもすると、やはりこういう問題は、個人プレーはさることながら、組織として、政府として一体になって、信頼関係を持って取り組んでいくということが相手国に対するプレッシャーにもつながるわけであります。
 そういった意味からすると、私は、この六項目というのは、今まで確かに十分にやり切れていなかった。しかし、今、全く五年間動いていないと言いますけれども、必ずしもそうではないじゃないですか。我々が圧力をかけたときに向こうが少し譲歩の反応をしてきたり、現実にそういうものがあったわけでありまして、やはりこの中身が少しずつではあるが前進をしている、決して後退をしていないということは、中井大臣も、一緒に同志として拉致議員連盟で活動したときにも、そういう認識は持っておられると思いますよ。
 確かに中井大臣は、新たに大臣になられて、前のやってきたこういうペーパー、決まり事をそっくりそのまま受け継ぐのは腹の虫がおさまらないという気持ちはわかります。それは非常にわかりますよ。だけれども、そういういわゆる私的感情を国家の基本的な政策の中に入れてしまっては、私は国が立ち行かなくなるんじゃないかなという気もするんです。
 例えばもう一つ、五番、特定失踪者に係る事案を含め、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に関する調査を引き続き全力で推進していく。新たに拉致と認定される事案があれば、北朝鮮側に対してしかるべく取り上げていく。
 これは、先日、参議院の白眞勲議員の質問でも、中井大臣はこのことについて少し踏み込んで答弁をされておられますね。現に、新内閣になってからも特定失踪者の皆さんと会談をしています。前政権のときにもそれをやりました。やはり、限りなく黒に近い、拉致されたものに近い皆さんも、千番台リストと言われているように、たくさんいらっしゃるわけでありますから、そういったものにしっかり取り組んでいくということは、これは今の方針と変わっていないと思うんですよ、中身。にもかかわらず、これまで外してしまっているということ自身、私はちょっと理屈が通らないのではないか。
 要するに、今申し上げましたように、前の政権がやっていることは全部おかしいというのは、私はちょっと納得がいきません。私は中井大臣を大変尊敬しております。なぜか。それは、私は、中井大臣は真の保守主義者だと思うからであります。やはり、保守主義というのは、守るべきものは守る、守るために改革をしていくということでありまして、評価されるものは、敵、味方であってもしっかりいいものは踏襲をしていく、不十分なものは改革をしていく、改良をしていく、その中から新しいものが生まれていく、こういうことじゃないでしょうか。
 私は、そういう意味からしても、この六項目を外してしまうというのは本当に問題があるな。むしろ、それだったら、では、この六項目が違うんだったら、新たな六項目なり追加項目なり、何か考えていただきたいと思います。
○中井国務大臣 御指摘ではございますけれども、私どもは、役人の人に文書をつくらせない、私どもでやる、そして拉致対策本部も、総理、外務大臣、官房長官、私、この四人でやる。従来は全閣僚でございます。そういったことを含めて、政治主導で決定をし、行動しようといたしております。役所が動いて、その上で追認をするというようなやり方では、到底この拉致という問題は解決していかないんだろう、こういう思いの中で、四人で今まで以上の連携をとって拉致問題に対応いたしております。
 したがいまして、外務省、外務大臣からは、拉致に関する言及があったときには、すべての問題について私のところへ報告が上がってまいっております。従来はこういったこともやられていない。また、私自身が得た情報の中で極めて大事なことにつきましては、外務大臣、官房長官にたびたびお目にかかってお伝えをして、一致結束、同方向、こういったことでこの問題に今取り組んでいるわけでございます。
 役所におきましても、ようやく、こういうペースや姿勢といったものを理解いただいて、今組織的に私どもをサポートしている、こういう状況にありまして、組織が動いていない、組織がサボタージュをしている、そういったことについてはもう全く心配をしていない。ただ、古屋先生の御指摘を十分胸に畳んで、おしかりをいただかないように、それらの文言にも配慮をしながら頑張ってまいりたい、このことを重ねて申し上げます。
○古屋(圭)委員 対策本部の十月十三日のペーパーでも、関係省庁連絡会議、これは大臣とか副大臣とか政務官、政治家が任命されているんですね。こういうものも稼働していないんですよ、現実には。政治主導とおっしゃるなら、やはりこういうものを頻繁に開いて、活動している、そういう姿を見せるべきじゃないでしょうか。ホームページが十月の十三日以来、一回も更新をされていないなんということがないように、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。
 時間がありませんので、最後に一つ。
 あした、拉致被害者支援法が議論されるようでございます。私ども自民党としても、これは、もう一年前から党の特別委員会の中に小委員会をつくって、そして実際に拉致被害者の家族にもお目にかかって詳しくヒアリングをして、まとめさせていただきました。ちょうどことしで五年の期限が来ます。私どもとしては、超党派でこれも対応するのがいいだろうということで大塚副大臣にもいろいろ御協力をいただきましたけれども、十年間延長するということで私たちは対応させていただきたいというふうに思っております。そのことについては、あした、御議論、そして御採決がいただけるものと予測をいたしております。
 いずれにいたしましても、大臣、そういう六項目がこういうことならば、新しい項目なりなんなりをやはり出して、高らかに宣言をするという必要があると思いますよ。それも何にもなくて、全部自分はやっているんだ、やっているんだだけでは、私は中井大臣は信頼していますけれども、そういうわけにはいかないんですね、国民の皆さんあるいは世界から見れば。先ほど大臣に質問したときにも、首脳会談で必ず入れてくださいよと言っても、そのことについてはほとんどお答えがなかったじゃないですか。
 やはり、そういう意味からしても中井大臣が頑張っていただいて、拉致問題を政府の最重要課題として、解決に向けてまなじりを決してやっていただく。強く要請して、終わります。

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