古屋圭司通信

ワシントン出張の成果

カテゴリー:北朝鮮拉致問題

2006年04月30日

18_04_30.jpg 24日からのワシントン訪問は、日本の各メディアが報道しているように、横田さんとブッシュ大統領との会談という歴史的な場面が実現し大きな成果を上げることができた。
 横田早紀江さんをはじめ拉致被害者家族会の代表、拉致被害者を救う会の西岡・島田両副会長、日本政府、NGO、そして我々拉致議員連盟それぞれが連携を取りながら対応し、いわば総力戦の結果であったといえる。出発時には、ほとんどの面会が決まっていなかったが、到着後から在ワシントンの大使館幹部や官邸とも連携をとりながら、政府要人との会談が次々と決定した。
 


 26日の国防総省関係者との会談では、当初の予定はローレス副次官であったが、「ラムズフェルト長官がイラク出張中のため」とした上で、イングランド副長官が面会に応じた。その応対ぶりは、極めて好意的で拉致被害者との記念写真にも直筆で激励が記されただけでなく、その内容もそれぞれ各被害者の実情が反映されているなど心遣いがあった。会談中に、イングランド副長官から「大統領が会いたいといっている」と発言されたときは驚きを隠せなかった。
 これに先立ち、面会したチャボット下院議員(北朝鮮問題に熱心な議員の一人)も、拉致問題解決に向けて、米国議会も同じ視点に立って協力していくといった発言や、その後会談したNSCのクランチ補佐官(同氏は大統領直結の側近であり、常に大統領とは緊密な連絡を取り合っている。)も、「米国は拉致問題は絶対に置き去りにしないし、原理・原則を守っていく」との力強い発言があった。私は、米国は核問題だけではなく、この拉致問題についてもいよいよ本腰を入れて取り組みだしたとの実感を得た。
 27日に行なわれた米国下院の公聴会での横田早紀江さんの証言は、綿密な摺り合わせや原稿の推敲を行なったこともあり、通訳との連携も見事で議会関係者には拉致問題を強く印象付けたことは間違いない。そしてなんといっても、横田さんが長年にわたって拉致問題を訴えてきたその気迫が、母親としての悲痛な思いと相俟って、多くの人の心に刻まれたことであろう。
 大統領との会談は、メディアも再三報道しているとおりであるが、横田さんが「自分はクリスチャンであり、きっと神は娘を無事に戻してくれると信じている」との発言に対し、大統領は手を差し伸べながら「自分もクリスチャンであり全く同じ気持ちである」とのやり取りは、横田さんと大統領との心がしっかりと通じ合ったのではないか。 
 
 このほかにも、24日の週は、北朝鮮人権週間として「North Korea Freedom Coalition」主催の各種行事が行なわれた。私は、24日の夜に行なわれたオープニングセレモニーと、28日に横田さんが大統領と面会した午後、ホワイトハウス前広場でお開催された集会に、それぞれ英語でスピーチを行なった20060428-06-1.JPG 演説内容
 私は今回の訪米を契機に、拉致問題は新たな段階に入ったと考えている。六カ国協議に北朝鮮が応じる姿勢を全く見せないこともあり、米国は昨年秋から金融制裁を実施しているが、拉致についても人権的視点から圧力をかけることが、北朝鮮への有力な手段と判断したことや、なんと言ってもブッシュ大統領の「悪」への挑戦という意向が強く働いた結果だと思う。事実上の拉致問題における米国の北朝鮮への宣戦布告である。横田さんも議会証言の結びで訴えたように「北朝鮮の誠意がみられなければ経済制裁の発動を」このことを小泉総理も正面からとらえてその決断を促したい。
 今後は、この拉致問題の完全解決に向けて、サミットやG8の場で、正式に議題として取り上げ「北」に圧力をかけていくことも不可欠だ。米国の大統領が、これだけ毅然たる態度で臨んでいる以上、日本が後手に回ることは許されない。わが国には、政府が認めた16人以外にも400人もの拉致されたとみられる特定失踪者がいるのだから、日本こそが積極的に関係各国に働きかけるべきだ。
 今回の大統領との会談には、日本大使は同席したが、横田さんとともに会談に招待された脱北者に韓国政府側は同席しなかったという事実(韓国が同席を拒否したのかは定かではないが)、竹島問題における韓国の強引な姿勢(日本側の弱腰姿勢も問題!)、北朝鮮との関係を重視する現韓国政権の姿勢や、拉致問題に極めて消極的な中国をいかに関わらせることなどまだまだ解決に向けて乗り越えるべき課題は残っている。
私たち、211名の衆参国会議員から構成される「拉致議連」(北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟)は、今後も、拉致被害者全員が元気に日本に戻る日を目指して活動していきたいと念じている。

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