古屋圭司通信

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「人権擁護法案」についてはすでに「人権擁護法案の問題点」で掲載してますが、4月5日に「真の人権擁護を考える懇談会」が発足しました。会長に平沼赳夫衆議院議員、顧問に安倍晋三衆議院議員等、30人を越える議員が役員に就任し、私は座長を務めることになりました。ここに「設立趣意書」をご紹介いたします。


「真の人権擁護を考える懇談会」設立趣意書
 3年前に提出され、「メディア規制法案」との批判を浴び、廃案となった人権擁護法案が再び国会に提出されようとしている。
 出生や国籍などを理由にした人権侵害は絶対に許されないことであることは言うまでもない。しかし、本法案が目指している本来の趣旨である人権侵害に対する救済措置ではなく、逆に、つぎのとおり民主主義の根幹である「自由な言論」を封殺し人権侵害を招きかねない重大かつ根本的な問題を含んでいる。
1.人権侵害の定義「不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為」があまりにも曖昧であり、さらに「助長」や「誘発」まで救済の対象としており、恣意的な解釈が可能であること。
2.いわゆる国家行政組織法上の3条委員会として、準司法的な強力な権限を付与される人権委員会のもとで、人権擁護委委員を全国で2万人委嘱されることを定めているが、その選考があまりに不透明であり、国籍も規定されておらず、偏った特定団体等の影響を強く受ける恐れがあり、公正な運営を阻害する可能性は排除できない。
3.人権委員会は、特別救済手続きとして、出頭要請、事情聴取、立ち入り検査などの強制力を持ち、拒否すれば罰則が適用される。このような強い権限が裁判所の令状なしに可能であり、国民に畏怖、抑圧し自由な言論を妨げる恐れがある。
4. 現行法の人権擁護委員は、政治活動が禁止されているが、本法案上は積極的な政治活動のみが禁止されているに過ぎない。
等々である。
 3年前の議論と同様、「メディア規制」のみがクローズアップされ、この法案の根幹的な問題が議論されることがなかった。しかしこれらの疑念が払拭されるまで、本法案を国会に提出すべきではない。我々は、まずADR(裁判外代理制度)や現行人権擁護委員の権能強化など、司法制度改革を徹底的に進め、本当の権利侵害を受けた弱者が迅速かつ適正に救済を受ける制度を充実していくべきであると考える。
 繰り返すが、「人権侵害」は決して許されることではない。権利侵害を受けた人たちの救済をいかに充実していくかを、真剣に議論し、その制度の確立を目指すものである。

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